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建築物環境衛生管理技術者とは?資格取得方法から仕事内容まで徹底解説

2025-08-04

ビルや商業施設など、多くの人が利用する建物では、目に見えない「衛生管理」が非常に重要です。

中でも、空気や水、害虫の防除など、建物全体の衛生を総合的に管理する専門職が「建築物環境衛生管理技術者(通称:建環技)」です。

一定規模以上の建物ではこの資格者の選任が義務付けられており、「建物の健康管理」を担う存在として、近年ますます注目を集めています。

とはいえ、「名前は聞いたことがあるけど、実際にはどんな仕事をするの?」 , 「ビル管理士との違いは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、建築物環境衛生管理技術者の仕事内容や資格取得の流れ、他の関連資格との違いまで、わかりやすく解説します。

1. 建築物環境衛生管理技術者とは?

建築物環境衛生管理技術者(以下、建環技)は、特定建築物における空気や水など、衛生環境全般を管理する国家資格です。法令により、一定規模以上の建物では建環技の選任が義務付けられており、主にビルメンテナンス業界や建物管理部門で活躍しています。

この資格は「建環技(けんかんぎ)」と略して呼ばれることが多く、類似資格として「ビル管理士(建築物管理技術者)」が挙げられますが、別の資格ですので注意が必要です。

延べ床面積3,000㎡以上の特定建築物では、空気、給水、排水、害虫などの6つの衛生管理項目について、定期的に点検・記録を行い、衛生的な環境を維持することが求められます。

そのため、建環技は建物の安全性や信頼性を支える上で、欠かせない存在といえるでしょう。

2. 建築物環境衛生管理技術者の業務と現場で求められる役割

建環技の業務は大きく6つの分野に分かれており、それぞれの分野で実務対応力と専門知識が求められます。

  • 空気環境の衛生的管理:室内のCO₂濃度や粉じん、一酸化炭素の測定に加え、空調設備やダクトの点検・清掃を定期的に行い、快適な空気環境を維持することが求められます。
  • 給水・排水の衛生管理:貯水槽の清掃や水質検査を通じて安全な飲料水を確保し、排水の流れや衛生状態も継続的に確認します。
  • 清掃・廃棄物管理:共用部を含めた清掃計画の立案・実行、ゴミの分別・保管・処理体制の整備により、衛生的で清潔な環境を維持します。
  • 害虫・ねずみ等の防除:発生リスクのある箇所を定期的に確認し、必要に応じた防除措置(薬剤処理など)を実施。発生履歴の記録管理も重要です。
  • 照明・温湿度の維持管理:照度、温度、湿度を測定しながら、利用者が快適に過ごせる環境を維持することが求められます。
  • 機械設備の維持管理・記録:空調機器、冷却塔、貯水槽などの設備について法定点検を実施し、記録を正確に残す必要があります。

さらに、建物の用途や規模に応じて、厨房設備の管理や感染症対策、災害時の初動対応など、付随業務を担う場面も少なくありません。

建環技は、単なる法令対応要員ではなく、建物全体の安全性と信頼性を支えるキーパーソンといえるでしょう。

3. 建築物環境衛生管理技術者の資格制度(2025年版)

飲食店の衛生点検は、自主点検(内部チェック)と行政による立入検査(外部チェック)の2つに大きく分けられます。食品衛生法やHACCP制度に基づき、こうした点検が体系的に管理されています。

▪︎ 実務で選任されるための条件(年次講習)

建環技の資格は、一度取得すれば有効期限はなく、更新の必要もありません。

ただし、特定建築物において建環技として選任されるためには、年1回以上の講習受講が義務付けられています。

この年次講習は、厚生労働省が認可する協会等が実施しており、感染症対策、法改正内容、衛生管理の最新事例などを学びます。

年次講習を受講しなかった場合、その年度に建物へ選任することはできず、行政指導の対象となる可能性があります。

項目 内容
対象講習 厚生労働省認可の講習(毎年実施)
受講時間 約5~6時間(座学中心)
受講料 約8,000~12,000円
実施形式 主に対面形式、一部地域ではオンライン併用
修了証明書 衛生監視時に提出が求められる重要書類

4. 建環技資格の活用と管理上の注意点

延べ床面積3,000㎡以上の特定建築物では、建環技の選任が法令により義務付けられています。

建環技は、空気・水・害虫防除・清掃・機械設備など、複数の衛生管理項目を一元的に担当し、行政監査への対応責任も担います。

外部委託管理会社を通じた選任も可能ですが、委託先の講習修了状況や資格の有効性は、最終的にオーナー側が確認・管理する責任があります。

▪︎ 資格の取得方法と要件(新規取得)

項目 内容
取得方法 厚生労働省指定の講習+最終日の修了試験に合格
合格条件 100%出席+筆記試験(正答率60%以上)
主な開催地 東京・大阪など全国主要都市(年1~2回)
講習内容 建築衛生、空調、水質管理、ねずみ・昆虫対策、関係法令 など

▪︎ 応募資格(以下いずれかを満たす必要があります)

分類 要件
学歴 衛生工学・建築学・機械設備・環境保健系の専修学校・大学卒業者
実務経験 1学歴要件を満たさない場合:・建築物管理業務における2年以上の実務経験・ビルメンテナンス等での衛生管理経験2年以上
必要書類 卒業証明書、勤務証明書、実務証明書などの提出が必要

5. 衛生管理者と建築物環境衛生管理技術者の違いとは?

職場や施設の「衛生管理」に関する国家資格の中でも、特に混同されやすいのが「衛生管理者」と「建環技」です。以下の表で制度・対象施設・業務内容などを比較し、その違いを明確に整理します。

比較項目 衛生管理者 建物の衛生管理技術者
制度の目的 労働者の健康と職場の労働衛生を守る 建築物の衛生環境を総合的に維持
・管理する
根拠法令 労働安全衛生法 建築物衛生法
対象施設 従業員50人以上の事業所(工場・オフィスなど) 延べ床面積3,000㎡以上の
特定建築物(商業施設・ビルなど)
主な業務内容 作業環境の点検、健康診断の実施、衛生教育など 空気・水・排水・害虫・照度
・温湿度の点検・記録・報告
資格の取得方法 第1種/第2種 試験に合格、実務経験が必要 厚生労働省指定の講習+修了試験
+所定の学歴または実務経験
選任義務 50人以上の事業場ごとに
1名以上の選任義務あり
特定建築物1棟につき1名以上の
選任が法律で義務づけられている
資格の有効性 一度取得すれば生涯有効(更新なし) 資格は有効だが、実務に従事するには
年1回以上の講習受講が必要
一般的な略称 衛管(えいかん)、衛生管など 建環技(けんかんぎ)、ビル管 など

6. よくあるご質問と管理上のリスク回避策(FAQ)

Q. 年次講習を受け忘れたら、資格は無効になりますか?

A. 資格そのものが失効することはありませんが、その年度は建物に選任できません。

Q. 建環技を外部委託しても問題ありませんか?

A. はい、可能です。ただし、委託先の講習受講状況や資格有効性はオーナー側の責任で確認しましょう。

Q. 修了証は毎年提出が必要ですか?

A. 自治体によって異なりますが、多くのケースでは衛生監視時に提示を求められます。年次ごとの保管・管理を徹底することが重要です。

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